こんにちは。名古屋の離婚弁護士です!
「子どもは自分と住みたいと言っている。裁判所から子どもに直接聞いて欲しい。」
離婚の調停または裁判で未成年の子の親権が争われているケースで、時々このようなご要望をいただくときがあります。しかし、事はそれほど単純ではありません。
一般に、小さな子どもは自分の本当の意思を述べることができないと考えられています。お父さんに聞かれれば「お父さんと住みたい。」と言い、お母さんに聞かれれば「お母さんと住みたい。」と言う子どもは珍しくありません。
また、子どもの希望で親権者が決まるとすると、親同士の争いに対して子どもが「決定権」を持つことになり、それに伴う責任も負うことになります。しかし、一般に、小さな子どもはこのような重い責任を受け止めきれないと考えられています。
このような理由で、家庭裁判所の実務では、小さな子どもに対しては、正式に親権者についての希望を聞くことはありません。
なお、家庭裁判所の調査官が調査の一環として子どもと面談をすることはあります。ただし、その場合でも、小さな子どもに対しては「お父さんとお母さんのどちらと一緒に住みたいの?」とストレートに聞くことはほとんどありません。
しかし、同じ未成年でも、ある程度の年齢になれば、自分の本当の意思を述べることができますし、重い責任も受け止められるようになります。このような段階になれば、むしろ子どもの希望を聞いた方が適切に親権者を決めることができます。
そのため、例えば名古屋家庭裁判所の実務では、子どもがおおむね高校生の年齢に達していれば、子どもから親権者についての希望を書面で提出してもらうようにしています。
ただし、いずれの場合でも親権者の問題はあくまでも親の責任であることを忘れてはなりません。