こんにちは。名古屋の離婚弁護士です!
婚姻費用を決めるときには、裁判所の算定表に基づいて決めることが多いです。
算定表では、互いの年収、子の年齢や人数によって金額が決められています。
ここで、子どもが成人しているが、病気や障害があって働くことができないため、親が経済的に生活の援助をしている場合、婚姻費用に影響はあるのでしょうか?
参考となる判例として、東京高裁昭和46年3月15日決定があります。
事案の概要としては、夫婦の間に二人の子どもがおり、一人は障害をもち、もう一人は疾病をもっていて、妻が子らを監護しており、夫に対し、婚姻費用の申立をして審判が出されていました。
その後、夫が妻に対し、子が成人したこと等の事情変更を理由に婚姻費用分担減額の審判を申し立てたという事案です。
この事案で裁判所は、子のうちの一人が生来病弱で再三にわたって入院加療を続け、現在もなお自宅で専ら母親である妻の世話になって療養生活を送り母親である妻と離れて独立して生活を営むに足る能力を具備しない場合は、法律上未成熟子と見るのが相当であることを前提に、その子が親に対して扶養料の支払いについて何も決まっていない状態であるならば、婚姻費用の算定の際に「子」として扱って金額を決めることを決めました。
つまり、子が成人になっていたとしても、自己の資産または労力で生活できる能力の無い場合は未だ「未成熟子」として扱われ、婚姻費用を算出するにあたり、考慮される場合があるとしたのです。
成人した子どもに対し、経済的援助をしている場合、婚姻費用に影響が出る場合がありますので、一度弁護士に相談されるとよいと思います。