こんにちは。名古屋の弁護士です。
みなさんは「婚姻費用」、「養育費」という言葉を聴いたことがあるでしょうか。
婚姻費用とは、夫婦が共同生活を送るのに必要な費用のことです。
そして、婚姻費用については、民法760条に「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と書かれています。
このことから、夫婦である以上は、たとえ別居していても、収入がない(少ない)者から、収入のある(多い)配偶者への婚姻費用の請求(婚姻費用分担請求といいます)ができるとされています。
これに対して、養育費とは、子どもの養育に関する費用のことです。
養育費は、親権が有るか無いかにかかわらず、親である以上は負担する義務があります。
そのため、離婚をして、親権を得られなかった方でも、養育費は支払わなければならないとされています。
では、婚姻費用や養育費が支払われない場合、どうすればよいでしょうか。
自ら支払ってもらえず、話し合いでも解決できない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることが考えられます。
調停でも話がまとまらないときには、裁判所に、相当額の支払いを命じてもらう審判という手続に移行します。 婚姻費用や養育費の金額について、調停や審判の場では、いわゆる「算定表」という表が用いられることが一般的です。
(算定表⇒http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf)
過去の記事にあるように算定表が基本となりますが、絶対の基準というわけではありません。
例えば子どもが私立学校に入学してお金がかかるなど、特別な事情がある場合には、算定表の数字を修正することもあり得ます。
特別な事情として主張可能かどうかは、個々のケースによりますので、算定表の数字に納得がいかないという事情がある方は、弁護士に相談されることをおすすめします。
また、最近の動向として、2016年11月に、日本弁護士連合会が新たな算定表を提言しました。
これは、現在用いられている算定表が、実情に即していない等の指摘がされていたことから、現在の実情に合うよう修正がなされたものです。
新算定表は、提言が出されたばかりで、まだ実務の場でスタンダードになっているとはいえませんが、婚姻費用や養育費の算定に当たっての一つの視点として、ぜひご注目ください。