成人年齢の引き下げと、養育費との関係

こんにちは。名古屋の離婚弁護士です。

平成30年の民法改正により、成年が18歳に引き下げられました。
従前、家庭裁判所の調停等で、養育費の終期が未成年者の20歳の誕生日の属する月までと決められることが多かったことから、成年の引き下げによって養育費の終期も早まったのかが気になりますよね。

しかし、養育費とは、子を監護している親から、非監護親に対する未成熟子の養育に要する費用をさします。

すなわち、養育費の対象となるのは「未成熟子」であり、未成年者ではありません。               未成熟子であるかどうかは、経済的に独立して、自身で生活することができるかどうかという点で判断されます。例えば、成年が20歳であったときも、20歳前でも高校卒業後に就職し、自ら十分な収入を得ている場合は、未成熟子とはいえなかったので、養育費の対象とはなりませんでした。ですから、成人年齢の引き下げは、養育費の終期に影響はありません。

家庭裁判所の調停等では、現在も、終期を「20歳に達する日が属する月まで」とする例が多いです。これは、高校卒業後ほとんどの者が進学するようになった今、満20歳までは親が子を経済的に支える状況が一般的になった社会状況が影響していると考えられます。
しかしながら、子の大学進学の可能性が高く、かつ両親の経済状況等から非監護親にも大学卒業までの生活費を負担させるのが相当であるときは、養育費支払いの終期は、22歳に達した後に到来する3月の末日までと定めます。調停の場合はもちろん、審判でも非監護親に負担させる相当性の判断がなされればそう定められます。

ただし、大学進学後にアルバイト収入や奨学金で自ら十分な収入を得ている場合は、未成熟子とみなされずに、養育費の支払い義務が発生しない可能性があります。
このように未成熟という概念は、実質的なものであり、形式的かつ一律に定まるものではない、ということを知っておいていただきたいと思います。

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