それ、モラハラかも!? その2

こんにちは。名古屋の離婚弁護士です!

お待たせしました。

モラハラについての連載第2回目、今回は「モラハラはどのように行われるか」について書こうと思います。

(以下では、「自分」とはモラハラ加害者、「相手」とはモラハラ被害者をイメージしてお読みください。)

第一段階:「巧妙に」支配下に置く

①相手を惹きつけ、自分から離れられないようにする

加害者は、最初の頃、「不幸な子ども時代を過ごした」「努力が認められず不遇な扱いを受けている」と“かわいそうな自分”を打ち明けて、被害者に「守ってあげたい」という気持ちを湧かせます。

②相手に影響を与えて自主性を奪う

続いて、被害者の感情に訴えかけたり、被害者の弱いところをついたりして、被害者の本来の考えや行動とは違うことをさせます。この頃の被害者は、加害者に惹かれていたり、加害者の言うことを疑わずに信じているために、本心では望んでいなくても「自発的にしている」と思い込んでいます。

③相手を支配下に置き、知的・精神的に服従させる

そうするうちに、加害者は、被害者の意見や意向を認めなくなり、自分の言うことは絶対であるとして従わせるようになります。被害者は、加害者に認められたくて必死になっている場合もあれば、洗脳されて考える余裕がなくなってしまっている場合、違和感を抱きつつも恐怖で逆らえない場合もあります。

 

第二段階:不安に陥れる

  • 直接的なコミュニケーションを拒否する

加害者は、ある事柄について「言葉で話し合う」ということを巧妙に避け、被害者が質問してもはぐらかしたり、ため息をついたり、不機嫌に黙りこくったりして、被害者を「自分は何かいけないことをしたのだろうか」と理由も分からずに悩まざるを得なくなり、加害者の動作ひとつひとつに敏感にならざるを得ない状態に陥ります。

  • あえて曖昧な言い方をしたり、話題をそらしたり、責任転嫁する

加害者は、被害者に対してのみ素っ気ない話しかけ方をしたり、「言わなくても分かるでしょう」と曖昧な指摘しかしなかったり、被害者の「言い方」や「態度」だけを問題にして本論から話をそらしたり(トーン・ポリシングといいます)、「誤解だ」「そんな考え方をする方が不寛容だ」と責任転嫁して、常に自分が正当であろうとします。

・相手を認めない態度をとる

加害者は、被害者をくりかえしダメ出しして、被害者の長所を認めず、被害者自身に「自分は駄目な人間だ」と思い込ませます。ダメ出しは、言葉で言われることもあれば、軽蔑的なまなざしや大げさなため息、からかい的にほのめかされるなど様々な方法があります。

  • 「議論」に見せかけた嘲笑、軽蔑

加害者は、被害者を精神的に支配した上で、被害者に皮肉を言ったり挑発したりして、「議論」をふっかけることもあります。残念ながら、調停や裁判では、被害者が言い返すことを捉えて、「支配従属関係にはない」「夫婦は対等だ」と加害者側から主張されることがよくあります。

 

第三段階:心を破壊する暴力的な言葉

先の二つの段階がエスカレートし、“おかしい”と感づいた被害者が支配に反抗しようとすると、加害者はまず、反抗的な被害者に対して憎しみを覚えるようになります。DVを受けていた妻が子どもを連れて実家やシェルターに避難したときに、DV夫が「誘拐だ!」と騒ぐのも、今まで支配下にあった者に対する憎しみの現れでしょう。

加害者が憎しみを覚えるようになると、攻撃はより直接的に、侮辱や中傷、悪口を繰り返たり、過去の「失敗」を何度も持ち出して非難したりするようになります。

被害者としても、第三段階に至るまでの間に、冷静に考える力を奪われていたり、「自分はできない人間だ」と思い込まされているので、「侮辱される自分に原因がある」と考えてしまうのです。

 

* * *

 

私たち弁護士にたどり着いた方ですら、加害者からの「洗脳」からなかなか抜け出せず、自分の判断に自信を持てなかったり、すぐに自分を責めてしまったりする人はとても多いです。

私たちは法律家ではありますが、そうした人々に寄り添って、本来の自分や人生を取り戻せるお手伝いをできたらいいなと思っています。

ぜひ、勇気を出して弁護士にご相談ください。

次回は、「モラハラへの対処法」を解説したいと思います。

パートナー等が在宅ワークで家に居ることが増えて、相談すらしづらい方に、この連載が届くことを願います。

なお、この連載は、マリー=フランス・イルゴイエンヌ 著(高野 優 訳)『モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない』(紀伊國屋書店、1999年)を参考に、執筆者の経験したケースを抽象化して作成しています。

 

離婚のご相談は、名古屋第一法律事務所・離婚法務部まで!

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